会報139号(2021.1)より掲載

国外居住親族と扶養控除の適用範囲

〜経理課社員リサと顧問税理士サキ先生の税務問答〜

税理士 村 野 弘 章

リサ

 年末調整の時期となりましたね。従業員(甲)からフィリピンに居住している配偶者(乙)の姉(丙)と姉の配偶者(丁)を扶養控除の対象にしたいとの相談がありました。甲は、丙と丁の生活費をそれぞれに送金しているようです。丙と丁を甲の扶養控除の対象とするために必要な書類は何がありますか。
家系図

サキ先生

 まず、扶養控除の対象親族は、6 親等内の血族、配偶者、3 親等内の姻族となっているため、丁は対象外となりますので注意してください。
 丙については、外国政府が発行した戸籍謄本等の親族関係書類を提出してもらう必要がありますが、フィリピンでは戸籍が編製されていないため、出生証明書で確認することができます。具体的には、丙の出生証明書に加え、乙の出生証明書を提出してもらい、二人の父母が同一であれば、甲との親族関係が確認できます。このように、1つの書類で親族関係が確認できない場合は、複数の書類を組み合わせることによって確認する必要があります。
 次に、送金関係書類の確認も必要ですが、甲は丙に送金しているとのことなので、海外送金した時の外国送金依頼書を提出してもらえば足ります。

リサ

 甲は丙へ、日本円で月5 万円程度送金しているのですが、国外居住親族への送金額の基準などはありますか。

サキ先生

 送金額の基準などは特に定められていませんが、国外居住親族の生活費や教育費に充てるための支払いであることが必要なので、送金額が少額であると考えられる場合は、生活費又は教育費に充てるためのものか、送金の目的を確認する必要があります。

リサ

 では、金融機関からの送金ではなく、甲がフィリピンに行った際に直接現金で手渡した場合も対象になりますか。

サキ先生

 送金関係書類の提出または提示がない場合は、扶養控除の適用を受けることはできません。仮に、現金の受取書等の提出があっても送金関係書類には 該当しませんので注意してください。

【筆者紹介】

村野 弘章(むらの・ひろあき)

東京国税局管内の税務署、国税局課税部勤務などを経て、東京都中央区で税理士登録。

湧き出る「新語・造語」への対抗策

ジャーナリスト 海 部 隆太郎

時代が変化するのは当然のこと。しかし、問題はスピードが速すぎることだ。新しい考え方、言葉が出てくると、必死に流れに乗ろうと動き回り、何とか理解度を深めたと思ったら、次の新たな言葉(流れ)が登場してくる。それは発展性が高いIT だからこそ、とめどもなく湧き出てくるのかと考えてしまう。それにしても、ついていけないことが多い。

 インターネットの登場が世の中を劇的に変えた。そこから派生する新サービスを理解しようと解説書などを読むが、文字を追っかけていても途中から分からなくなる。そのまま放置していると、取材相手の発言の真意が理解できず原稿を書く段階で苦労することが度々あった。

 記憶に新しいことで言えば、クラウドは元々がインターネット創設の概念と理解していたので難しくなかったが、数年前からブロックチェーンの話題が増え、最近はやたらと経済紙の見出しを賑わすDX(デジタルトランスフォーメーション)が新語の主流ではと思う。DX は今さら聞けない言葉になっているようだ。内容を正確に把握していないと時代に乗り遅れてしまいかねない。この場で解説することもできないので、ビジネス常識としてある程度のことは知る努力をお勧めする。

 新語辞典なるものがあり、アルファベット、カタカナで表記される新語類はある程度カバーできる。平易な表現で書かれており、膨大なネット情報から分かりやすい解説を探し出す手間が省ける。ただ、これも発行と同時に古くなるのが欠点。やはりIT 関連で出てくる新語・造語に対応するには、ITに頼らざるを得ないだろう。

◆経済は“吐故納新”が基本なのか

 それにしても私が記者全盛期のころは、経営者から頻繁に聞く課題は“リエンジニアリング”など製造技術から出てきた言葉だった。さらにパソコン以前にあったOA(オフィスオートメーション)などは、知らない世代の方が多いのではないか。世の中の動きに合わせて、使われる言葉も仕組みも、どんどん更新されていく。それに対応するのが一苦労。蓄積した知識が生かされればいいのだが、そればかりでないのが厄介だ。

 こう考えると、経済とは“温故知新”ではなく“吐故納新”(とこのうしん=古いものを捨て新しいものをとり入れる)が基本なのではないかと思う。こうした考え方で割りきれば納得もするが、どうもしっくりこない。前述の新語辞典を参照しながら概念を理解することに努力し、何とか時代の流れに乗ろうとする日々が続いている。この繰り返しがこれからも続くのかと思うと重荷だ。

 経営者の話を聞き、課題や対処法を文章にまとめて報告するのが私の仕事。つまり、実業に関わっていない。先輩記者から「俺たちは虚業の世界で生きている」と教わったことがある。成果物が文字しかないのだから虚業だという。前向きにとらえれば、実業に携わる人から謙虚になり話を聞き教えてもらう姿勢を忘れるな、ということだろう。だが、虚業発の新語が実業の人たちをかき回してしまうことも少なくない。この見極めが大事だ。

 激しい世の動きをキャッチアップして生きているつもりだが、人としての本質は十年一日のごとく、何も変わっていないと確信する。今は、何とかスマホを使いこなせていればいいのでは、との感覚が強まっている。

【筆者紹介】

海部隆太郎(かいべ・りゅうたろう)

法政大学卒。日本工業新聞社、IT 企業を経て独立。中小企業を中心に企業が抱える幅広い課題を取材・執筆活動を展開する。




 
 


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