会報138号(2020.10)より掲載

不動産譲渡契約書等にかかる印紙税軽減措置とは?

〜経理課社員リサと顧問税理士サキ先生の税務問答〜

税理士 山 端 美 コ

リサ

 「不動産譲渡契約書」や「建設工事請負契約書」にかかる印紙税の軽減措置が延長になりましたね。

サキ先生

 そうですね。これまでは平成 9 年 4 月 1日から令和 2 年 3 月 31 日までに作成される契約書について、軽減措置の対象となっていましたが、令和 2 年 4 月 1 日から令和 4年 3 月 31 日までに作成されるものについても、適用の対象となりました。

リサ

 ところで、不動産の譲渡に関する契約書とは、印紙税額一覧表の第 1 号文書の「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」のうち、不動産に関する契約書が軽減措置の対象になるのは何となくわかりますが、第2 号文書の「請負に関する契約書」のうち、軽減措置の対象となる文書はどのような文書ですか。

サキ先生

 第 2 号文書の「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条で定められている建設工事に係る文書が軽減措置の対象になります。ここでいう建設工事とは土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事をいいます。

リサ

 例えば、不動産譲渡代金や建設工事代金を受領した際に作成する受取書も軽減措置の対象になるのですか。

サキ先生

 たとえ不動産の譲渡や建設工事の請負に係る契約に関して作成される文書であっても、不動産の譲渡に関する契約書又は建設工事の請負に係る契約書に該当しないものは、軽減措置の対象にはなりませんよ。

リサ

 じゃあ、建築物の設計については、建設工事には該当しませんか。

サキ先生

 建築物の設計についても、建設業法第 2条で定められている請負工事には該当しないので、軽減措置の対象となりません。

リサ

 そうですか。建設に係る契約書などはすべて印紙税が軽減されると思っていたのですが、そういうわけではないのですね。

【筆者紹介】

山端 美コ(やまはた・よしのり)

国税庁長官官房事務管理課、東京国税局課税第二部調査部門、同消費税課などを経て、神奈川県相模原市で税理士登録。中小企業を中心に財務・税務サービスを行うとともに、法人会において印紙税等に関するセミナー講師を行う。著書に「文書類型でわかる印紙税の課否判断ガイドブック」(清文社)、「建設業・不動産業に係る印紙税の実務」(税務研究会)、「間違うと痛い!! 印紙税の実務 Q&A」(共著、大蔵財務協会)等がある。

家族のあり方も見つめ直す−コロナ後の日常

産業カウンセラー 柏 木 勇 一

◆在宅勤務で知った家族関係

 地域によって程度は異なりますが、新型コロナウイルス感染問題は、「ステイ・ホーム=家にいなさい」という現象が示すように、働く人々とその家庭にも影響しました。感染拡大が終息したわけではありません。コロナをめぐる様々な対応が、働き方や家族のあり方に与えた課題は大きく、新しい日常のあり方が問われています。

 働く現場の変化は、在宅勤務、テレワーク、リモート会議などの言葉に示されています。これも地域によって、そして工場など業種業態によっても異なりますが、「自宅での仕事に集中したいが、学校も休みでみんな家にいる。うるさくて集中できない。つい、妻や子どもに怒鳴ってしまった。どうしたらいいか」という相談が 4 月、5 月は結構ありました。コロナウイルスが投げかけた問題のひとつとして、家族のコミュニケーションの重要性を感じました。「家族の新しいあり方を見つめ直す機会」と、とらえてみませんか。

◆家族みんなを尊重していますか

 こういう質問を、相談をしてきた方に投げかけました。電話での話し合いです。ちょっと沈黙がありました。もし面談だったら、視線をずらして考え込んだかもしれません。出てきた答えは「急にそう言われても、尊重なんて普段は考えていませんね」でした。

 家族間のコミュニケーションには、夫婦と親子という 2 つの関係性があります。どちらにも大切なことは、相手を尊重できるかどうか、ということです。子どもは子どもの、母親なら母親の、それぞれ異なる人格、価値観、考え方があることを忘れないでください。一応、ここでの子どもは、小学校高学年以上を想定しています。その人となりは形成されています。子ども扱いすると危ないです。自分本位の大人の考え方を優先して対応すると、親子の間に溝が生じます。夫婦間でも同じでしょう。
イライラしている時は、自分自身の価値観を前面に出している時です。いったん気付いたら、相手の立場も考えてください。学校に行けない、外で友達と遊べない、子どもだって悩んでいるんだ、と考えることができれば怒鳴らないでしょう。この話をした時、相談者からは「みんな辛いんですよね」と納得の言葉が返ってきました。

◆アイ(I)メッセージのコミュニケーションを

 これは、「あなたはダメだ。あなたは間違っている」と伝えるのではなく、「私はこう思う」と、自分を主語にして、自分の気持ちや考え、時には感情を言葉にして伝えることです。この話し方のメリットは、相手に意見を押し付けるような印象を与えないことです。つまり相手を尊重するコミュニケーションです。例えばテレワークの準備で資料を作成中、子どもが隣でゲームを始めました。「父親が仕事中にゲーム とは何だ、けしからん」と思い、イライラが強くなると、「うるさい」と大声が出ます。こんな時「外に行けないからお前もイライラしているのは分かる。こっちの仕事が一段落するまで 30 分でいいからゲームはやめてくれないか」という言葉が出れば、子どもも分かってくれるはずです。

 コロナ禍がもたらした職場と家庭の変化。危機感を持つことも大事ですが、新しい試みを考え実現していく好機ととらえることも欠かせないでしょう。家族関係の見直し、親子間の信頼につながります。ここで示した、相手を尊重するコミュニケーションは、家庭だけではなく職場でももちろん通用します。ぜひ試みてくだい。

【筆者紹介】

柏木 勇一(かしわぎ・ゆういち)

1941 年生まれ。大学卒業後、新聞社勤務を経て、現在 EAP 企業でカウンセラーとして活動。産業カウンセラー、家族相談士、交流分析士。




 
 


もっと詳しい情報を知りたい方は→→→国税庁【タックスアンサー】←←←のサイトをご覧ください。


                               ページトップへ