会報136号(2020.4)より掲載

軽減税率制度における税額計算の特例とは?

〜経理課社員リサと顧問税理士サキ先生の税務問答〜

税理士 互 井 敏 勝

リサ

 令和元年10 月から軽減税率制度が導入され、消費税率が複数になりましたね。

サキ先生

 今後は売上げと仕入れを税率の異なるごとに区分して税額計算する必要がありますね。

リサ

税率ごとに区分するのは大変そうですね。

サキ先生

 課税売上げと課税仕入れを税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情がある中小事業者(基準期間における課税売上高が5,000 万円以下の事業者)については、売上税額と仕入税額について特例を用いて計算することができます。

リサ

 具体的にはどのように計算するのですか。

サキ先生

 まず、売上税額の計算特例は、令和元年10 月1 日から令和5 年9 月30 日までの期間において、課税売上げ(税込み)の合計額に一定の割合を掛けて軽減税率の対象となる課税売上げ(税込み)を算出し、売上税額を計算します。この一定の割合は3 種類あり、@課税仕入れ等(税込み)を税率ごとに区分経理できる卸売業又は小売業を営む中小事業者は、その事業に係る課税仕入れ等(税込み)に占める軽減税率の対象となる売上げにのみ要する課税仕入れ等(税込み)の割合(小売等軽減仕入割合)、A通常の連続する10 営業日の課税売上げ(税込み)に占める同期間の軽減税率の対象となる課税売上げ(税込み)の割合(軽減売上割合)、B上記@とAの割合の計算が困難な中小事業者で主として軽減対象資産の譲渡等(約50% 以上が軽減税率対象)を行う事業者の50/100(軽減売上割合を50% とみなす)、があります。なお、@は簡易課税制度を適用しない中小事業者に限ります。

リサ

 課税売上げを税率の異なるごとに区分して経理できなくても、簡便的に軽減税率の対象となる課税売上げ(税込み)を算出し、売上税額を計算することができるのですね。

サキ先生

 次に、仕入税額の計算特例は、令和元年10 月1 日から令和2 年9 月30 日の属する課税期間の末日までの期間において、課税売上げ(税込み)を税率ごとに区分経理できる卸売業又は小売業を営む中小事業者は、その事業に係る課税仕入れ等(税込み)に、その事業に係る課税売上げ(税込み)に占める軽減税率の対象となる課税売上げ(税込み)の割合(小売等軽減売上割合)を掛けて、軽減税率の対象となる課税仕入れ等(税込み)を算出し、仕入税額を計リササキ先生算します。なお、課税売上げを税率ごとに管理できず、売上税額の計算特例として軽減売上割合(上記A又はB)を使用した場合は、その軽減売上割合を小売等軽減売上割合とみなして仕入税額を計算します。

 また、令和元年10 月1 日から令和2 年9 月30 日までの日の属する課税期間については、上記仕入税額の特例を適用せずに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税期間から簡易課税制度を適用できる特例があります。

リサ

 この税額計算の特例は、卸売業又は小売業を営む事業者とそれ以外の事業者で適用できる特例が異なるので、制度を良く理解する必要がありますね。

【筆者紹介】

互井 敏勝(たがい・としかつ)

1968 年生まれ。東京国税不服審判所審判部、同所管理課、国税庁長官官房会計課、東京国税局総務部税務相談室などを経て、東京都中央区で税理士登録。近著「令和元年版 税制改正経過一覧ハンドブック」、「経営に活かす税務の数的基準」(共著、大蔵財務協会)、「所得税重要事例集」(共著、税務研究会)など。




 
 


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