会報137号(2020.7)より掲載

永年表彰の記念品として支給する旅行券は課税されますか?

〜経理課社員リサと顧問税理士サキ先生の税務問答〜

税理士 舟 田 浩 幸

リサ

 最近は、新規雇用も難しくなってきていますので、従業員の定着率を上げるため、永年表彰制度を導入することにしました。永年表彰にあたって記念品を支給しようと思いますが、注意する点はありますか。

サキ先生

 記念品の支給は原則として経済的利益として給与課税が必要ですが、一定のものは課税しなくてよいこととされています。

リサ

 どのような場合に課税されないのですか。

サキ先生

 旅行・観劇等の招待または記念品の支給で、その利益の額が勤続年数に照らして社会通念上相当であり、かつ、1 回目の表彰は概ね10 年以上の者を対象とし、2 回目の表彰からは概ね5 年以上の間隔をおいて行われているものは給与課税の必要がありません。

リサ

 記念品として商品券を支給した場合は給与課税が必要ですか。

サキ先生

 商品券は現金と同じですから給与等として源泉徴収が必要です。

リサ

 では、旅行券の場合も給与等として源泉徴収が必要になるのですか。

サキ先生

 旅行券も原則給与課税が必要ですが、商品券とは違って、所定の要件を満たせば課税しなくてよいこととされています。

リサ

 その要件とはどのようなものですか。

サキ先生

 まず、旅行券の支給後1 年以内に旅行券を使って旅行をする必要があります。次に、その旅行の範囲が、旅行券の額からみて相当なものであることが必要です。海外旅行でも金額が相当であれば構いません。そして、旅行券を使用して旅行をした場合に、所定の報告書に必要事項を記載し、旅行先等を確認できる資料を添付して会社に提出することが必要です。所定の必要事項とは、旅行券で旅行した従業員の所属・氏名・旅行日・旅行先・旅行会社等への支払額等です。さらに、旅行券の支給後1 年以内に旅行券の全部又は一部を使用しなかった場合には、その使用しなかった旅行券を会社に返還す る必要があります。これらの要件をすべて満たせば、給与課税は必要ありません。

リサ

 多少の事務手続きが必要ですが、旅行券の支給が最も喜ばれると思いますので、旅行券を支給しようかと思います。

サキ先生

 旅行券を支給する際には、従業員さんに、1 年以内に旅行する必要があること、書類・添付資料の提出が必要なことを確実に伝えてくださいね。

【筆者紹介】

舟田 浩幸(ふなだ・ひろゆき)

東京国税局調査第一部外国法人調査第3 部門主査、同局調査第四部国際税務専門官(移転価格担当)、渋谷税務署国際税務専門官(所得税担当)、芝税務署 国際税務専門官(源泉所得税担当)などを経て、2016 年8 月神奈川県横浜市鶴見区で税理士登録。

資本的支出の判定(システム開発関係)

〜実践税務調査〜

税理士 牧 野 義 博

税務調査において、システム開発費用をめぐり、次のような会話が交わされています。

調査官

このプログラムの修正は何の目的で行われたのですか? 経理処理では修繕費とされていますが、具体的な根拠があればお話しください。

担当者

システムの使い勝手を良くするために、プログラムの一部を修正しただけで、新たにシステムを開発したわけではありません。

調査官

プログラムの修正は、バグ(プログラム上のごみ)、つまり機能上の障害を除くためのものなのか、あるいは現状維持のためですか? 具体的には、プログラムのどの部分を修正されたのか説明願います。

担当者

特定商品の売上げの分析表を作っていましたが、それに項目を新たに数行追加することにより見やすくしただけです。

調査官

いわゆるパソコンの表計算ソフトで分析項目を数行挿入するイメージですね。

担当者

そうです。単なるちょっとした追加ですが問題ないでしょう?

調査官

システムを構築する場合、まず木に例えれば幹の部分を作らなければなりません。それから必要に応じて枝の部分を足して目的の成果物ができるのです。

担当者

それは分かりましたが、今回と何の関係があるのですか?

調査官

最初にシステムを作った時に、本来の目的である成果物がきちんとできるか、言い換えれば作成したシステムが正しく機能しているか、テストデータを流し、完成品のチェックを必ず行います。つまりテストを行うのです。

担当者

確かにテストデータを出してほしいと言われましたし、最後にチェックもしました。

調査官

今回は市販のソフトを修正したものではなく、自社が開発したシステムの修正を行っていますので、いわば枝を追加したイメージです。したがって、枝の部分の修正プログラムができたとしても、枝だけの木はありませんので、幹から枝まで通してテストデータを流しチェックすることになります。つまり、新たにシステムを追加、構築したことになるわけです。

担当者

新たな機能の追加、つまり資本的支出ということですか。

調査官

そういうことです。少し難しかったですが、ご理解いただけましたか。

担当者

何となく分かりました。ちなみに耐用年数は何年ですか?

調査官

用途が自社利用ですので5 年となります。

 プログラムの修正を行う時は、既存システムの不具合修正等の原状復帰のものなのか、あるいは、新たに機能を追加するものなのかで、修繕費か減価償却資産かの判断を行ってください。ソフトウエアやシステム開発というと難しく感じられますが、基本をしっかり覚えていただければ、判断は比較的に容易であると思われます。

【筆者紹介】

牧野 義博(まきの・よしひろ)

東京国税局調査部において特別国税調査官、統括国税調査官、調査開発課長等を経て八王子税務署長を最後に退官。東京都新宿区で税理士登録。著書には「ザ・税務調査1 〜 3」「税務トラブルと債務の確定」(大蔵財務協会)ほか専門誌等に執筆。HP は「牧野義博税理士事務所」で検索。全国各地で講演会も行っている。




 
 


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